この場所ではドローン飛ばさないで!飛行禁止区域とは?
はじめに
近年、ドローンは空撮や配送、農業、災害対応など、様々な分野で活用されています。しかし、ドローンを飛ばす際には、必ず守らなければならないルールがあります。
「どこでも自由に飛ばせる」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はドローンの飛行には厳格な法的規制があります。この記事では、ドローンの飛行を規制する主要な法律である「航空法」と「小型無人機等飛行禁止法」について、初心者の方にもわかりやすく解説します。
ドローンを規制する2つの重要な法律
ドローンの飛行を規制する法律は主に2つあります。
- 航空法
航空機の安全な運航を目的とした法律で、ドローンも「無人航空機」として規制対象となっています。 - 小型無人機等飛行禁止法
国の重要施設やその周辺での小型無人機の飛行を禁止する法律です。
これらの法律は異なる目的で制定されており、両方の規制を理解し、遵守する必要があります。
航空法による規制
航空法とは何か
航空法は、航空機の安全な運航を確保するために制定された法律です。2015年12月の改正により、重量200g以上のドローンが「無人航空機」として規制対象に含まれ、さらに2022年6月20日の改正により、規制対象が重量100g以上に拡大されました。
航空法で定められた飛行禁止区域
航空法では、以下の空域での飛行が原則として禁止されています。
1. 空港等の周辺空域
空港やヘリポートの周辺では、航空機の離着陸に支障をきたす可能性があるため、ドローンの飛行が制限されています。具体的には:
- 進入表面等の上空:空港の滑走路延長線上の空域
- 空港から一定距離内:空港の種類により異なる距離が設定
- ヘリポート周辺:病院や消防署のヘリポート周辺も含む
2. 150m以上の高さの空域
高度150m以上は有人航空機が飛行する空域のため、ドローンの飛行は原則禁止されています。ただし、以下の例外があります。
- 物件から150m以内の範囲
- 国土交通大臣の許可を受けた場合
3. 人口集中地区(DID地区)の上空
人口密度の高い市街地では、墜落時の危険性を考慮して飛行が制限されています。人口集中地区は国勢調査に基づいて設定され、主要都市部の多くが該当します。
4. 緊急用務空域
消防、救助、警察業務その他の緊急用務を行うための航空機の飛行の安全を確保するため、緊急用務を行う航空機が飛行する空域が「緊急用務空域」として指定されます。この空域では、たとえ他の飛行禁止空域の許可を取得していても、原則としてドローンの飛行は禁止されます。
緊急用務空域の指定は災害発生時や緊急事態発生時に行われるため、飛行前には必ず確認が必要です。指定情報は国交省のホームページや国交省Xで公示されます。
飛行方法の規制
さらに、航空法では以下の飛行方法が規制されています。
1. 夜間飛行の禁止
国立天文台が発表している日没から日出までの時間帯の飛行は原則禁止されています。
2. 目視外飛行の禁止
操縦者がドローンを直接目視できない状態での飛行は禁止されています。
送信機のモニター(ドローンの映像)を見ながらの飛行も目視外飛行に該当します。
3. 人または物件との距離
ドローンと人(第三者)や物件(建物、車両など)との間に30m以上の距離を保つ必要があります。
4. 催し場所上空の飛行禁止
祭りやイベントなど、多数の人が集まる場所の上空での飛行は禁止されています。
5. 危険物の輸送禁止
火薬類や毒物など、危険物の輸送は禁止されています。
6. 物件投下の禁止
ドローンから物を投下することは禁止されています。液体も含まれます。
7.飲酒時の飛行禁止
8.危険な飛行禁止
機体登録制度
2022年6月20日より、重量100g以上のドローンは国土交通省への機体登録が義務化されました。登録されていない機体は飛行させることができません。
機体登録には以下の情報が必要です。
- 所有者情報:氏名、住所等
- 機体情報:製造者、型式、製造番号等
- 使用者情報:機体を使用する者の情報
登録は「無人航空機登録ポータルサイト」から行い、登録手数料として900円(オンライン申請の場合)が必要です。
上記の規制に該当する場合でも、国土交通大臣の許可・承認を得れば飛行が可能になります。申請は以下の手順で行います。
- 事前の準備:機体の性能確認、操縦者の技能確認
- 申請書の作成:DIPS(ドローン情報基盤システム)を使用
- 審査:安全性の確認
- 許可・承認の取得:条件付きで許可される場合が多い
詳しくは「ドローンの機体登録制度とは?登録の必要性と手続き方法」のコラムをご参照下さい。
小型無人機等飛行禁止法による規制
小型無人機等飛行禁止法とは
この法律は、国の重要施設等の安全確保を目的として2016年に施行されました。テロ対策の一環として制定され、重要施設周辺でのドローン飛行を厳格に規制しています。
対象となる機体
航空法とは異なり、この法律では重量に関係なく、以下の機器が規制対象となります。
- 小型無人機:ドローン、ラジコン機など(重量問わず)
- 特定航空用機器:気球、凧など
飛行禁止区域
以下の施設とその周辺おおむね300mの地域・上空が飛行禁止区域に指定されています。
1. 国の重要施設
空港やヘリポートの周辺では、航空機の離着陸に支障をきたす可能性があるため、ドローンの飛行が制限されています。具体的には:
- 国会議事堂:参議院・衆議院議事堂とその周辺
- 内閣総理大臣官邸:総理官邸とその周辺
- 最高裁判所:最高裁判所庁舎とその周辺
- 皇居・御所:皇居、赤坂御用地、京都御所など
- 政党事務所:国会内に議員団を有する政党の事務所
2. 外国公館等
- 大使館:各国の大使館
- 領事館:各国の領事館
- 国際機関:国連機関など
3. 防衛関係施設
- 自衛隊施設:駐屯地、基地など
- 在日米軍施設:基地、施設など
4. 空港
- 国内空港:成田空港、羽田空港、関西空港など
- 米軍基地内の飛行場
5. 原子力事業所
- 原子力発電所
- 核燃料施設
- 放射性廃棄物貯蔵施設
6. 大規模イベント会場(期間限定)
- オリンピック・パラリンピック会場
- ラグビーワールドカップ会場
- G7サミット会場
- その他の国際的な重要イベント会場
対処措置
警察官等は、違反行為を発見した場合、以下の措置を取ることができます。
- 機器の退去命令
- 機器の捕獲・破損
- 飛行の妨害
これらの措置により機器が損壊しても、国に損害賠償責任は生じません。
罰則について
航空法違反の罰則
- 50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
小型無人機等飛行禁止法違反の罰則
- 1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
飛行前の確認方法
ドローンを安全に飛行させるためには、事前の確認が不可欠です。
1. 地図・アプリでの確認
- 国土地理院の地図:人口集中地区の確認
- ドローン専用アプリ:飛行可能エリアの確認
- 空港周辺の確認:航空局のホームページ
2. 現地での確認
- 看板や標識飛行禁止を示す表示
- 管理者への確認私有地の場合は所有者の許可
- 周辺環境人や建物の位置確認
3. 気象条件の確認
- 風速強風時の飛行は危険
- 雨天機体の故障原因となる
- 視界霧や雲による視界不良
まとめ
ドローンの飛行には、航空法と小型無人機等飛行禁止法という2つの重要な法律による規制があります。これらの法律は、航空の安全と国の重要施設の安全確保という異なる目的で制定されており、それぞれ異なる規制内容となっています。
航空法では、主に航空の安全を目的として、100g以上の重量のあるドローンは空港周辺、高度150m以上、人口集中地区での飛行を規制し、夜間飛行や目視外飛行などの飛行方法も制限しています。一方、小型無人機等飛行禁止法では、重量に関係なく、国の重要施設周辺での飛行を厳格に禁止しています。
ドローンを安全かつ適法に運用するためには、これらの法律を正しく理解し、飛行前に必ず確認を行うことが重要です。不明な点がある場合は、国土交通省や警察庁のホームページで最新情報を確認するか、専門家に相談することをお勧めします。
ドローンは便利で魅力的な技術ですが、適切なルールの下で使用してこそ、その真価を発揮できます。安全第一の精神で、責任ある運用を心がけましょう。
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