包括申請とは?ドローンの飛行許可を全国・長期間でまとめて取得する方法
実務で使えるDIPS2.0の申請フローと、審査でつまずきやすいポイントを解説

前回のコラムでは、ドローン空撮を始める前に知っておきたい飛行許可の基本的な仕組みについてお伝えしました。今回はその中で予告していた「包括申請」について、DIPS2.0での実務的な手続きの流れや注意点まで詳しく解説していきます。
業務で継続的にドローンを飛ばす方にとって、包括申請は飛行のたびに申請する手間を省ける便利な制度です。一方で、対象外の飛行や必要な安全体制を正しく理解していないと、審査で差し戻しになったり、思わぬ法令違反につながったりすることもあります。
包括申請とは何か
まず基本的な考え方から整理しましょう。
通常、ドローンの飛行許可・承認申請は「いつ」「どこで」飛ばすかを特定して行います。しかし、業務で全国各地・繰り返し飛行する場合、そのたびに個別申請を行うのは非効率です。
そこで用意されているのが「包括申請」です。飛行場所(経路)を「日本全国」「〇〇県」のように特定せずに申請できる制度で、同一の申請者が一定期間内に反復・継続して飛行を行う場合に利用できます。原則として申請期間は3か月、最長で1年間として提出します。
包括申請の対象となる代表的な飛行は、次のようなケースです。
- 人又は家屋の密集した地域(DID)の上空における目視外飛行、および人・物件から30m未満での飛行
- 夜間飛行、目視外飛行、および30m未満での飛行
これらのように「場所を問わず同じ条件で繰り返し飛ぶ」ケースに向いた制度だとイメージすると分かりやすいでしょう。
※本記事の内容は執筆時点(2026年7月)の国土交通省公表資料に基づいています。制度は随時改正されるため、実際の申請前には必ずDIPS2.0および国土交通省の最新情報をご確認ください。
包括申請ができる飛行・できない飛行
包括申請の大きな注意点は「すべての特定飛行が対象になるわけではない」という点です。以下の飛行を行う場合は、飛行経路を特定しない包括申請はできず、必ず場所を特定した個別申請が必要です。
▼ 包括申請の可否一覧
| 飛行の種類 | 包括申請 (経路非特定) | 補足 |
|---|---|---|
| DID上空での目視外飛行・30m未満飛行 | 可能 | 航空局標準マニュアル02の安全体制が前提 |
| 夜間飛行・目視外飛行・30m未満飛行 | 可能 | 同上 |
| 空港等周辺における飛行 | 不可 (場所特定必須) | 空港事務所長宛の個別申請 |
| 地表・水面から150m以上の高さの飛行 | 不可 (場所特定必須) | 空港事務所長宛の個別申請 |
| 密集地域上空における夜間飛行 | 不可 (場所特定必須) | |
| 夜間における目視外飛行 | 不可 (場所特定必須) | |
| 補助者を配置しない目視外飛行 | 不可 (場所特定必須) | いわゆるレベル3飛行 |
| 趣味目的での飛行 | 不可 (場所特定必須) | |
| 研究開発目的での飛行 | 不可 (場所特定必須) | |
| 催し場所上空における飛行 | 不可 (場所・日時とも特定必須) | |
| 密集地域上空・夜間の目視外飛行 | 不可 (場所・日時とも特定必須) | 上記の複合ケース |
※上記はあくまで飛行許可・承認申請そのものの要否を整理したものです。申請の要否にかかわらず、機体登録・飛行計画の通報・飛行日誌の作成は条件を問わず義務です。
このように、業務でよく使われる「イベント上空の空撮」「空港周辺での撮影」「趣味や研究目的の飛行」は、いずれも包括申請の対象外です。包括申請を取得していても、これらの飛行を行う場合は都度、個別に申請し直す必要がありますのでご注意ください。
あわせて知っておきたい「一括申請」と「代行申請」
包括申請と混同されやすい制度に「一括申請」と「代行申請」があります。それぞれ目的が異なるので、表で整理します。
▼ 申請方法の違い
| 制度名 | 内容 | 活用例 |
|---|---|---|
| 包括 申請 | 飛行経路を特定せず、一定期間まとめて申請 | 全国で継続的に空撮業務を行う事業者 |
| 一括 申請 | 複数の許可・承認事項をまとめて1件で申請 | 夜間飛行+目視外飛行+30m未満飛行を同時に行う場合 |
| 代行 申請 | 複数の申請者や委託先の飛行をまとめて代表者が申請 | 事業者が所属パイロット全員分をまとめて申請する場合 |
※「一括申請」「包括申請」「代行申請」は、国土交通省の審査要領(カテゴリーII飛行)に定められた正式な申請区分です。なお「代行申請」は、行政書士等に申請書の作成・提出そのものを依頼する「申請代行」サービスとは意味が異なりますのでご注意ください。
一括申請と包括申請は組み合わせて使うこともでき、「全国」×「夜間・目視外・30m未満」をまとめて1件の申請で取得する、といった使い方が一般的です。ただし前述の対象外飛行が含まれる場合は、その部分だけ個別申請が必要になる点は変わりません。
DIPS2.0での申請の流れ
包括申請を含め、飛行許可・承認申請は原則としてオンラインシステム「ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)」から行います。実務的な流れは以下の通りです。
機体登録の際に取得したログインIDとパスワードでログインします。
はじめて利用する場合は新規にアカウントを作成しますが、「個人」区分では企業名を入力できないため、事業者として申請する場合は必ず「企業・団体」を選択してアカウントを開設してください。
飛行の目的、期間(包括申請なら「〇か月〜1年」)、飛行させる空域(例:日本全国)、飛行の方法などを入力します。
包括申請では、経路を特定しない申請に対応した「航空局標準マニュアル02」を使用します。
場所を特定した申請で使う「標準マニュアル01」とは併用できないため、混同しないよう注意しましょう。
申請先は飛行内容によって異なります。
空港等周辺・緊急用務空域・150m以上の空域を含む申請は東京空港事務所長または関西空港事務所長宛て、それ以外(DID上空・夜間・目視外・30m未満・催し場所上空・危険物輸送・物件投下など)は東京航空局長または大阪航空局長宛てに提出します。
申請先を誤ると補正のやり取りが発生し、許可取得までの期間が延びてしまうため注意が必要です。
審査には少なくとも10開庁日程度を要するとされていますが、不備があれば補正のやり取りでさらに時間がかかるため、飛行開始予定日の3〜4週間前には申請を済ませておくのが安心です。
承認されるとDIPS2.0上で電子許可書が発行され、ダウンロードして携帯できます。
包括申請の許可を取得した後も、実際に飛行する際は飛行計画の通報と飛行日誌の作成が必須です。
また、無人航空機に関する事故が発生した場合は、特定飛行かどうかにかかわらず救護義務と航空局への報告義務があります。
審査でつまずきやすいポイント
国土交通省の案内でも、申請内容の不備は頻発していると注意喚起されています。特に次の点は事前にチェックしておきましょう。
- 申請書の必須項目が空欄になっている、必要な資料が添付されていない
- 空港等周辺・150m以上の飛行なのに、航空局長宛てに申請してしまっている(申請先の誤り)
- 経路非特定の包括申請なのに、対象外の飛行(催し場所上空・趣味目的など)を含めてしまっている
- 総重量25kg以上の機体を使うのに第三者賠償責任保険への加入状況を記載していない(2025年10月以降の新規申請から必須)
これらは審査要領の改正などにより随時変更されるため、申請前には必ずDIPS2.0や国土交通省の最新情報を確認する習慣をつけておくと安心です。
まとめ
包括申請は、業務で継続的にドローンを飛ばす方にとって申請の手間を大きく減らせる便利な制度ですが、「対象になる飛行」と「個別申請が必要な飛行」を正しく切り分けることが何より重要です。
- 包括申請は飛行経路を特定せず、最長1年間の期間で申請できる制度
- 空港周辺・150m以上・催し場所上空・趣味/研究目的の飛行は包括申請の対象外
- 一括申請・代行申請とあわせて使うことで、事業者単位での申請業務を効率化できる
- 許可取得後も飛行計画の通報・飛行日誌の作成は必須
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